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【お仕事紹介】大森山動物園の1日~獣医師・19年目~

こんにちは、人事課Sです。
今回は大森山動物園で働く獣医師Tさんにインタビューをしましたので、紹介します。


🌾どんな仕事をしていますか?

大森山動物園での獣医師の仕事は多様です。診療だけに特化した担当はなく、飼育展示担当に所属し、飼育員の仕事も兼務しています。飼育展示担当では、動物の飼育や来園者への動物の解説、学校向けプログラムなどの対応を行っています。私は、飼育展示担当内の4つの班のうち、1班の班長として仕事をしています。すべての展示動物の健康管理と、1班が管轄する展示動物の飼育管理、学校向けプログラム「ふれあい教室」の運営などが主です。

🌾一日の業務の流れを教えてください。

8:30~ 始業、全体・飼育展示担当ミーティング
8:40~ 獣医師ミーティング
8:50~ 飼育作業
9:00~ 動物園開園
10:00~ ふれあい教室(保育園、幼稚園、小学校低学年向けの団体専用メニューです。モルモットなどの小動物とふれあい、動物への接し方を学んで、いのちへの理解を深める教室を行っています)
11:00~ 動物病院へ入院している動物の管理
12:00~ 昼食
13:00~ 飼育展示担当ミーティング
13:30~ なかよしタイム(来園者がモルモットなどの小動物とふれあうことができる時間です)
14:00~ 薬の調合、動物の治療など
15:00~ 事務処理、資料作成など
16:00~ 動物の収容作業
16:30~ 動物園閉園
17:00~ 飼育日誌(飼育員としての日誌)、衛生日誌(獣医師としての日誌)の作成
17:15 終業

動物園は土日祝日を含むシフト制の勤務です。翌月のシフトは前月に獣医師同士や班のメンバーで調整し、決めています。

🌾秋田市役所への入所を希望した理由を教えてください。

秋田市役所には動物園があるため、動物園獣医師を希望し、入所しました。当時の動物園への就職は狭き門であったため、動物病院や秋田県庁での獣医師を経験したあと、秋田市役所に就職しました。
大学時代に所属していたゼミへ、ある動物園からキリンの蹄の治療のため、麻酔管理と蹄の整形を手伝ってほしいと依頼があり、教授と一緒に出向いた経験が動物園の獣医師に興味を持ったきっかけです。あの大きなキリンに麻酔をかけて治療ができるとは思ってもいなかったので、「すごいな!」とただただ感心していました。

🌾動物園の獣医師として働く魅力や、仕事のやりがいを教えてください。

動物園で治療する動物は、大学では教えてくれない動物がほとんどです。そのため、いろいろな文献を調べ、先輩獣医師の経験や、他の動物園からのアドバイスをもらい治療します。最初はわからないことだらけでしたが、経験を重ねるにつれてだんだんスキルが上がってきます。今では「ハズバンダリートレーニング」という手法により、猛獣といわれる動物でも、無麻酔で健康管理ができる動物も増えてきました。治療技術と同時に特に重要なのが、動物の異変に気がつく目を持つことです。これは、スキルと経験がないと習得できません。少しでもタイミングを間違うと死につながります。早期発見、早期治療(手術)により、動物の死亡を防ぐことができたときには、とても嬉しく思います。

無麻酔でユキヒョウの採血ができるようになりました

もう一つの魅力は、動物園では飼育業務も兼務しているため、自分が管理する動物の繁殖、誕生、搬出入、死亡を見届けることができ、最後には死亡後の病理検査を実施し、完結できることです。動物園獣医師以外に生から死までを管理、治療、予防、病因究明まで出来る仕事はないと思います。死亡原因がわかることで、動物たちが健康で長生きしてくれるよう、大事に管理するための次につながる成果を得られます。自分の治療や成果が、直接管理する動物たちに反映できることが魅力です。

ニホンザルの手術の様子

また、「自然観察指導員」という資格を取り、大森山公園の自然観察会を毎年実施しています。野生動物だけでなく、それを取り囲む自然環境についても来園者に知ってもらえればと思い始めました。小学校の校外学習などで参加する「ふれあい教室」についても、参加できなかった小学校や高学年向けに、動物とのふれあい方を自分で考える「考えるふれあい教室」の開催を今年度から始めました。
いずれについても獣医師とは無関係ですが、自分の働く動物園をより良く、魅力的にするために始めました。アイディアとやる気さえあれば、来園者や参加者の笑顔と、リピーターの獲得につながります。企画が通れば、動物園スタッフとして広がりのある仕事ができるというところがやりがいです。

自然観察会の様子

🌾逆に、大変だと思うところはありますか?

入所時には、動物園にいる動物を1頭でも寿命まで長生きさせることを目標として頑張ってきました。しかし、犬や猫と違い、野生動物を相手にするので、どうしても治療や手術ができない場合もあります。術後の管理の難しさも課題です。動物の生死を何度も経験するので、人間的にも成長しなければいけないと動物から教えてもらっています。

🌾人事異動で動物園以外での勤務も経験していると思いますが、どんな仕事を経験しましたか?

秋田市役所での獣医師の勤務先は、大森山動物園のほかに「食肉衛生検査所」と「保健所」があります。私はどちらも経験しました。
食肉衛生検査所では、牛や豚がと畜され食肉になる過程で、病気がないか、食肉に適しているかを検査し、安全な食肉を流通させる仕事です。
保健所では、飲食店の営業許可や食中毒調査のほか、飼い犬猫の引き取りや放浪犬猫の収容と譲渡、しつけ方の指導を行ってきました。しつけ方教室では、「間違った飼い方あるある」と題して、職員が寸劇を披露するために「劇団DOGS」を結成しました。当時、猛練習したのを懐かしく思います。

🌾お休みの日はどのように過ごしていますか?また、育児休業も取得したことがあると思いますが、取得してみてどうでしたか?

休みの日は、子どもたちと山に登ったり、海に行ったり、冬はスキーに行ったりして、アウトドアを楽しんでいます。また、自然観察も楽しんでいます。
育児休業に関しては、先輩獣医師が先に取得経験があったことと、当時の所属長はじめ、職員のみなさんの理解があり、取得することができました。ちょうど動物園の閑散期の冬であったことも良かったのかもしれません。
毎日、朝ごはんを食べさせ、午前中は西部市民サービスセンターの子育て交流ひろばへ遊びに行き、お昼ごはん。午後からは昼寝、夕ご飯時には奥さんも帰ってくるので、風呂に入れて夕ご飯。寝かしつけ…の毎日でした。
大変ではありましたが、子どもと一緒にいるということが、何よりもいい経験になりました。表情の変化や感情の起伏、目線などの微妙な変化を感じられました。

休日は子どもたちと出かけています

🌾最後に、受験を検討している方へ一言お願いします!

動物園では、獣医師の仕事だけでなく様々な仕事があります。そのため、自分が今まで経験してきたこと、これから経験することも、動物園での仕事につながることがあります。
一つのことにとらわれず、いろいろなことに興味を持ち、アイディアを絞り出し、粘り強く諦めないことが力になります。
大森山動物園は令和5年9月1日で開園50周年を迎えました。半世紀の歴史とこれからの半世紀の未来を創造し、ぜひ、わたしたちと一緒に大森山動物園を盛り上げましょう!



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